円高の影響
近年、急激に円高が進んでいます。2011年8月19日には、瞬間値で1ドル76円25銭をつけ、戦後最高値を更新することになりました。
急激な円高は、企業業績悪化や株価下落の要因の一つと言われており、このまま円高が進むと景気がさらに悪化すると考えられています。
円高になると私たちにどのような影響があるのかを見てみましょう。
そもそも「円高」とは、日本円の通貨価値が上昇することです。例えば、1ドル200円だったのが100円になった場合は円高です。1円の価値が0.05ドルだったのが0.1ドルに上昇することを意味します。
円高になるとさまざまな恩恵があります。円高の時に海外旅行に行けば、円よりも現地通貨の価値が低下するため、安く感じるようになります。旅行会社の発行するパンフレットにも、「円高の今がチャンス!」などの謳い文句があったりします。
輸入品についても同様です。以前は1ドル200円で100個輸入して20000円かかっていたのに、1ドル100円になれば、同じ個数購入しても10000円で輸入できることになります。
こうして我々消費者の立場からみると、円高はメリットがたくさんあるように見えますが、実は、日本経済全体で考えてみると、行き過ぎた円高はデメリットの方が大きいのです。
先ほどの例でみると、1ドルの商品を海外に輸出しても、以前は200円入金されたのが100円の入金にしかなりません。そうなると、儲けが半分になってしまいますね。
企業はその商品を200円で輸出したいと考えたら、その商品を1ドルから2ドルに値上げしなくてはなりません。だからといって安易に値上げをしてしまうと、他の海外製品との価格競争には負けてしまいます。
日本は輸出大国と呼ばれており、円高は、輸入によるプラスの影響よりも輸出によるマイナスの影響を大きく受けてしまいます。
また、円高が進むと、海外だけでなく国内においても安価な海外製品が流入し、相対的に国内製品が売れなくなり、その結果、国内企業の業績は悪化します。
国内企業は競争力を強化するため、生産拠点を海外に移転することを検討するようになり、長期的に考えると国内産業の空洞化、継続的な雇用率の低下という、身近な問題につながっていきます。
このような背景から、早急に日本経済の立て直しを図る必要があります。円高を是正するための、政府や日銀による為替介入や金融政策の実施が望まれているのです。
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